退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『大奥(秘)物語』(1967) / R-18指定作品だけどエロくない!

新文芸坐の《祝 80歳&監督生活50周年「遊撃の美学 映画監督 中島貞夫」映画祭》で、映画『大奥(秘)物語』(1967年/東映)を見てきた。タイトルの本来の表記は『大奥㊙物語』である。

タイトルのとおり舞台は江戸城大奥。徳川家宣(六代将軍)の治世。大奥の女同士の愛憎劇を三部構成のオムニバスで描く。ヒロインは、第1部に藤純子、第2部に岸田今日子、第3部に佐久間良子が配されている。大奥を取り仕切る御年寄役には、山田五十鈴東宝から招かれ東映女優陣に所作を指導をしたという。

東映女優陣が美しく撮られているところが美点であり、東映とは思えない豪華な衣装と美術も必見。当時の製作陣の気合いがうかがえる。大きなスクリーンでみると映画を見たなという気分にさせられるのはさすがというべきか。

レズシーンや折檻シーンから「エログロ路線」を目指してたことがわかるが、現在の基準からすれば、ごくマイルドな内容になっている。これがR-18(成人指定)なのが不思議である。映倫の基準も時代により変化するようだ。

この映画で特筆されるのは、「大奥物」という分野を新たに開拓したことだろう。エログロ路線は希釈されているものの、大奥ブームがいまなお続いているのは、やはり先見の明があったというべきだろう。岡田茂、侮りがたし。