退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『虹をわたって』(1972) / 天地真理の初主演作

神保町シアターの《映画は歌うよどこまでも♪》という企画で、映画『虹をわたって』(1972年、監督:前田陽一)を鑑賞する。国民的アイドルだった天地真理の初主演作。ちなみに「虹をわたって」は彼女の4枚目のシングル曲の題名でもある。

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喜劇を得意とした前田陽一監督が、歌と笑いで描くファンタジー。前田組というべき喜劇役者たちが参加していて楽しい映画に仕上がっている。天地真理の人気曲はもちろん、沢田研二の「君をのせて」も聞くことができる。

舞台は横浜。真理ちゃんは山の手のお嬢様で、継母に反発する家出娘を演じる。船上の簡易宿(だるま船と呼ばれていた)に暮らす庶民たちとの交流とともに、彼らとは住む世界が違うという格差社会の現実も併せて描くというシニカルな作品になっている。

特筆すべきは、劇中劇として演じられる「白雪姫」。当時、白雪姫と言われていた真理ちゃんが白雪姫を演じるというニクイ演出。でも王子様はなぜか岸部シロー。ほかの出演者では、なべおさみが好演している。息子のなべやかんとそっくりなのにも注目したい。

往時のアイドル映画の王道をゆく作品であるが、残念ながらソフト化されていない模様。映画としてもよく出来ているで一見の価値はあるだろう。

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