退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

オルセー美術館展 @国立新美術館

国立新美術館で開催中の「オルセー美術館展」に行ってきました。テーマは〈印象派の誕生〉。1874年の第1回印象派展開催から140年 ― パリの美術界を騒然とさせた「新しい絵画」の誕生の衝撃を再現するという趣向。「チューリヒ美術館展」も同時開催中でした。

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概要

印象派の殿堂」として知られるパリ・オルセー美術館から、珠玉の絵画を集めて六本木で展示会をするという、印象派の好きの日本人向けの「鉄板」の企画です。マネに始まり、モネ、ルノワール、ドガ、セザンヌ印象派の立役者となった大家の作品が目白押しです。
http://orsay2014.jp/

記憶に残った作品

さすがにオルセーです。見どころはたくさんあります。そのなかの3点ほど記憶に残った作品を紹介します。

  1. エドゥアール・マネ 《笛を吹く少年》(1866年)
  2. クロード・モネ 《草上の昼食》 (1865-66年)
  3. エドゥアール・マネロシュフォールの逃亡》 (1881年)

《笛を吹く少年》は、本展示会のポスターやチケットにも使われています。美術の教科書でお馴染みの作品でもあります。遠近感を廃して、黒と赤のコントラストを平面的に用いているのは浮世絵の技法に影響を受けたとされています。サイズが縦160cmと、想像していたより大きい絵画でした。少年の実物大に近かったのかもしれません。

《草上の昼食》は、フランス国外に出ることがほとんどなかったモネの大作。日本初公開です。ようやく見れました。マネの有名に作品『草上の昼食』(1863年)と同じテーマでサロンに出展する予定でしたが間に合いませんでした。本来は縦4mx横6mの巨大な作品でしたが、その半分近くは失われています。音声案内によれば、家賃の代わりに大家さんに譲渡し、その後買い戻したときは痛みがひどかったそうです。なんとも惜しい。現存する部分からも若き芸術家の野心が見えるようです。

ロシュフォールの逃亡》はマネの最晩年の作品です。ナポレオン3世の体制に抵抗したジャーナリスト、アンリ・ロシュフォールの逃亡劇に触発された作品です。海の描写は、晩年のマネの荒い筆致の美しさを見ることができます。若いとき船員の見習いとして南米への航海を経験していたマネは、死期を前にしてこれまでの人生を思い出すことがあったのでしょうか。

音声ガイド

今回、音声ガイドを借りてみました。ナレーションは朝ドラ「ごちそうさん」でブレイクした東出昌大とFM放送のDJで知られる秀島史香でした。

東出昌大はナレーションがたどたどしく、正直どうなのと思いましたが、オルセー美術館を訪問した写真が載っている出品作品リストを配布していたところをみるとトータルパッケージということなのでしょう。

また音声ガイドには、《笛を吹く少年》の笛「ファイフ」の再現楽器による音色が収録されていて、ちょっと面白いなと思いました。

どこから湧いてくるのかと思う人混み

いつものように会場は混んでました。いったいどこから湧いてくるかと思うほどです。新聞社がタダ券ばらまいている限り無理なのかもしれません。ビッグデータを使って比較的すいている時間帯を予想するサービスはないものだろうか。
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