退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

NHKの木曜時代劇『吉原裏同心』がよかった

先週、NHKの木曜時代劇枠で放送されていた『吉原裏同心』(全12回)が最終回を迎えました。木曜時代劇で放送される時代劇は毒気がなく、「イイハナシダナー」という番組が多いので、いつもイマイチだな思っていましたが今回はよかったです。

http://www.nhk.or.jp/jidaigeki/yoshiwara/index.html

番組開始時、とりあえずキャスティングで見てみることにしました。貫地谷しほり野々すみ花ダブルヒロインに惹かれました。貫地谷は既に女優としての地歩を固めていますが、野々はまだ一般には知られていないかもしれません。

彼女は宝塚歌劇団宙組のトップ娘を務めた女優で、舞台『誰がために鐘は鳴る』で髪を思いっきりショートカットにして話題になりましたね。不思議さんの印象が強いです。今回は吉原一の花魁・薄墨太夫を演じています。実に美しい。

さて、物語はざっくり言うと次のとおりです。幹次郎(小出恵介)は、九州のある藩で馬廻り役だったが、幼なじみの汀女(貫地谷しほり)が父の借金のために嫁いた先でDVで受けているのを見かねて二人で駆け落ちをする。各地をさまよった後、江戸・吉原に流れつく。幹次郎は剣の腕を買われて裏同心として吉原の会所に雇われ、そこで数々の事件を解決する。

幹次郎、汀女、そして薄墨太夫の関係がユニークです。幹次郎と汀女は駆け落ちした仲で夫婦ですが、汀女が年上で幹次郎からは「姉さん(あねさん)」と呼ばれています。萌えポイントです。そして薄墨太夫も幹次郎に好意を寄せますが、汀女と反目するわけでもなく、この二人はとても仲がよい。不思議な三角関係ですがなかなか楽しい設定です。

ただ難点もあります。ずばり殺陣です。民放ではレギュラーで時代劇をつくらなくなったので、若手俳優が殺陣を身につけるのは無理なのかもしれません。今回も小出恵介は時代劇は初挑戦だったそうです。第1回では、ワイヤーアクションで飛び上がったので、「おいおい、これはちがうだろ」と思いながら観ていました。スタッフも気が付いたのか、そして俳優もコツを掴んだのか、回を重ねるうちにマシになってきました。と思ったら、すぐに最終回でしたが……。

原作は、長く続いている佐伯泰英の時代小説シリーズなので、ネタのストックはたっぷりありそうです。ぜひ、続編を期待したいです。それじゃねー。

流離 吉原裏同心 (光文社文庫)

流離 吉原裏同心 (光文社文庫)

  • 作者:佐伯 泰英
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2003/03/12
  • メディア: 文庫