退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『STAND BY ME ドラえもん』(2014) / ラストはこれでいいのか?

近所のシネコンで『STAND BY ME ドラえもん』(2014年、監督:八木竜一、山崎貴)を鑑賞。シリーズ初の3DCG作品で、原作のいくつかのエピソードを再構成した作品でもある。

作画については、見る前は3DCGのドラえもんは違和感があるかと思ったが、自然に受け入れることができた。むしろ、3DCGを駆使して描いた未来都市はすばらしく、これをスクリーンで見るだけでも劇場まで行く価値がある。ただ、タイアップなのか未来都市に企業名がしつこく入っているのは興ざめだ。

次にストーリーだが、演出側の意図なのかもしれないがちょっとおかしい。少し説明してみよう。

この映画は未来からドラえもんがやってくるところから始まる。ドラえもんのび太をしあわせにしないと未来に帰れないようにプログラムされる。「のび太のしあわせ」とは何か? それは「しずかちゃんと結婚すること」。

ある日、しずかちゃんと結婚できるか心配になったのび太は、ドラえもんとともにタイムマシンでのび太の青年期に行く。そこで、のび太は、しずかちゃんが青年になったのび太のプロポーズを受け入れ、のび太と結婚することを確認する。

「少年のび太」は「青年のび太」と出会う。青年のび太は、少年のび太に「ドラえもんと会う?」問われると、「子どもころのことだから」とドラえもんと会わずに二人は別れる。青年のび太はすっかり自立していたのだ。自立したからこそ、しずかちゃんの心を射止めるまで成長したことが示唆される。

そしてのび太ドラえもんは現代に戻る。しずかちゃんと結婚できることを確信したのび太は、「しあわせ」の絶頂だ。それを、「のび太をしあわせはにした」と判定されたドラえもんは未来に帰ることになる。否応なしに自立を迫られたのび太は、1人でジャイアンに立ち向かいフルボッコにされながらもジャイアンに負けを認めさせる。ドラえもんへの依存を脱して自立できた瞬間だ。そしてドラえもんは未来に帰り、のび太はひとりで生きていく。これで青年期ののび太につながるというわけだ。めでたしめでたし。

と思いきや、「ウソ800」のせいでドラえもんが未来から帰ってくる。映画は、大団円というか一見ハッピーエンドで終わる。子どもは大喜びだ。

でも、ちょっと待った。これでは、のび太ドラえもん依存症に逆戻りして、自立した青年のび太にはなりえない。どう考えたらよいものか……。腑に落ちないエンディングだった。


[STAND BY ME ドラえもん]プロモーション映像 - YouTube

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