退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『動脈列島』(1975) / フィルムセンターの増村保造特集もうすぐ終了

先日、フィルムセンターで開催中の「映画監督 増村保造」特集で、映画『動脈列島』(1975年)を見てきた。監督の生誕90年を記念した大回顧特集である。9月7日まで。

この映画は、新幹線騒音公害に憤った青年医師が、騒音対策を取らないと新幹線の運行を止めると国鉄を脅迫する社会派サスペンス。原作は清水一行の小説。

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前半は、数々の想定外の方法で新幹線を止めるなどなかなか面白いのだが、犯人は詰めが甘く終盤はがっかりする。この頭の切れる犯人が本気で新幹線を止めるつもりならば、ブルドーザーを崖から落とすより、もっと効果的な方法があるのではと思ってしまう。

それでも脅迫犯の近藤正臣と、彼に対抗する警察の指揮を執る田宮二郎との対決は魅せてくれる。近藤正臣NHKの木曜時代劇「吉原裏同心」などで今でも勇姿を見ることができるが、他方の田宮二郎の枯れた姿を見ることができないのはいかにも惜しい。他の出演者では、国鉄総裁役の山村聰はさすがの貫禄を見せてくれ必見だろう。

この映画は『新幹線大爆破』(1975年、東映)と対比されることが多い。『動脈列島』が社会派作品であるのに対し、『新幹線大爆破』は東映らしくミニチュアの新幹線を使うなど娯楽性を追及している。この映画は東京映画の製作であるが増村保造大映出身の監督であることを考えると、東映vs大映といった作風の違いをみることができるとも言えるだろう。

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