退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

「激動の昭和史」二本立て/小林桂樹が大活躍!

新文芸坐の《8・15 終戦の日によせて 反戦・社会派映画特集》で、『東宝8・15シリーズ』の二本立てを観る。

娯楽映画ではあるが、太平洋戦争末期の戦史をざっくり把握するのにも役立つだろう。反戦思想を前面に出さずに淡々を描いているのは好印象。

どちらの映画も東宝作品なので、同じ俳優が両方の作品に出演しているのが目立つ。例えば、小林桂樹は、前者では東條英機を、後者では牛島満をそれぞれ演じている。2本続けてみると、誰が誰を演じているのか一瞬分からなくなる。

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激動の昭和史 軍閥 (1970年)

東條英機小林桂樹)を主人公にして、戦時中の派閥争い、マスコミの姿勢などを描いている。

東條が、イエスマンしか側近に置かなくなり、徐々に偏狭になっていくところが見どころだろうか。だが東條が精神的に追い込まれているなか、人間性についての描写が乏しく、人物像が判然としないのはいただけない。

また「竹槍では間に合ぬ」という記事を書いた新聞社の記者(加山雄三)が、東條の逆鱗に触れ懲罰召集されるという「竹槍事件」が取り上げられているのにも注目したい。戦時中のメディアのあり方を考えさせられる。

この映画では原爆投下の映像で終わるが、東條を取り上げるのならば、終戦後の自殺未遂、そして東京裁判で戦争責任を追及され絞首刑になるところまで描き切ってほしかった。

激動の昭和史 沖縄決戦(1970年)

タイトルどおり太平洋戦争末期の沖縄戦を描いている。当時はCGがなかったのに、迫力のある映像に舌を巻く。それでも米軍戦車はこうじゃないとも思うがなかなか健闘している。

この映画で好きなシーンを2つ紹介したい。ひとつは米艦隊が沖縄に押し寄せて来るのを見て、高橋悦史が「船が多すぎて海が見えない」「船が七分に海が三分」と報告するとところ。これはアニメの元ネタにもなっている。

もうひとつは、八原高級参謀(仲代達矢)が、軍の首脳が自決したあと、民間人の服装で米軍に投稿するシーン。米国への留学経験もある矢原が"Don't shoot."と流暢な英語で米兵に呼びかけて投稿する。「生きて虜囚の辱めを受けず」という戦陣訓はどうしたのだろう。軍幹部の一部にも玉砕や自決はバカバカしいという考えがあったのかと思うと興味深い。

この映画を観ると、沖縄の人たちが太平洋戦争で筆舌に尽くしがたい辛苦を舐めたことがよくわかる。大田実は自決前に「沖縄県民斯ク戦ヘリ 県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」と電文を送った。日本政府はそれに報いているだろか。そんなことを考えさせらる映画である。