退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『文学賞殺人事件 大いなる助走』(1989)

新文芸坐で開催された《追悼上映 鬼才 鈴木則文 ~下品こそ、この世の花~》の最終日に、映画『文学賞殺人事件 大いなる助走』(1989年)を見ました。筒井康隆の小説『大いなる助走』の映画化です。文学界・文学賞を皮肉たっぷりに批判する内容です。

文学賞殺人事件 大いなる助走 [DVD]

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地方のサラリーマンが自分の会社を徹底的に批判する暴露小説を書き、それが文芸誌の掲載され一躍文壇の寵児になる。某文学賞候補になるが、選考委員にカネを渡したり、恋人をあてがったり、オカマまで掘らせないと受賞できない業界の実態を知るに至り、次第に壊れていき、ついには自滅するという話。夢オチを用いたり現実と妄想が交錯したり、やや凝った構成になっています。

主演は佐藤浩市ですが、注目すべきは助演の女優たちでしょう。まず、ドラマ「Gメン'75」で女刑事を演じていた中島はるみが、主人公を応援する人妻を演じていて実に美しい。佐藤とのベッドシーンも披露しています。

次に甲斐えつ子にも注目です。高橋えつ子名義でグラビアアイドルとして活躍していたのを覚えている人も多いでしょう。そんな彼女が、本作では地方の同人会の文学スノッブ石橋蓮司に処女を奪われるという女子高生役で出演しています。この映画で脱ぐんかいと思わなくもありませんが、思い切りのよい体当たりの演技を見せてくれています。

また原作者の筒井康隆が文壇サロンでSF作家を自虐的に語っているシーンも必見です。他にも、胡桃沢耕史団鬼六カメオ出演しています。こちらもなつかしい。

ちょっと変わったコメディーなので見る人を選ぶかもしれませんが、監督の手腕が遺憾なく発揮されたB級映画に仕上がっています。文句なく面白いです。鈴木監督の追悼企画の最後に相応しい映画でしょう。
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