退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『好色一代男』(1961) / フィルムセンターで増村保造特集やってます

少し前になりますが、フィルムセンターで開催中の「映画監督 増村保造」特集で、映画『好色一代男』(1961年)を見てきました。監督の生誕90年を記念した大回顧特集です。9月7日までやってます。あと2本ぐらいは見たいですが、スケジュールがあうかどうか。

増村保造といえば、私は好きな監督ですが世間ではそれほど知られているとは言えません。今回のプログラムも観客が集まるかなと思って出かけましたが、なんと大入りでした。耳をそばだてると、どうやら市川雷蔵人気のようです。正直、舐めてました。すみません。

好色一代男 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2013/12/20
  • メディア: DVD

さて、この映画は井原西鶴の処女作からの翻案。大商人のひとり息子・世之介(市川雷蔵)は放蕩三昧のため、父親(中村鴈治郎 )から勘当されて、全国を放浪の旅に出て女性遍歴を重ねる。世之介のモットーは「世の中の全ての女を幸せにしたい」というもの。父の死後、遺産を相続した世之介は、店の金を湯水のように使い女遊びをします。圧巻は、京一番と謳われた夕霧太夫若尾文子)と小判を天秤にかけて値踏みする場面。その後、お上に睨まれた世之介は船で日本を脱出するといった話です。

あれだけ女遊びを重ねても、少しも下品に見えないのが雷蔵のすごいところでしょうか。また世之介の女性遍歴のなかに登場する大映の女優たちはキラ星ばかりとは言えませんが、最後に登場する若尾文子がビシッと締めてくれます。さすがの貫禄です。

ところで、今回の上映企画もフィルムセンターなので、ぜいたくな上映スケジュールです。1日2本を昼夜の1回ずつ上映するという殿様商売、というか「商売」ですらないわけですが……。利用しにくいので、もっと上映回数増やしてほしいですね。もっと言えば、フィルムセンターが国立の施設であることを考えると、広く全国の映画ファンのために、ホールで上映するよりBSにでも番組を持ったらいいかもしれません。
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