退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『ピンポン』(2002) / 奇蹟のコミック実写化

映画『ピンポン』(2002年、監督:曽利文彦)を見ました。松本大洋の同名コミックの映画化です。宮藤官九郎が脚本を担当し、窪塚洋介が主人公のペコを演じています。

ピンポン Blu-ray スペシャル・エディション

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4月からノイタミナ枠で『ピンポン THE ANIMATION』(ピンポン ジ・アニメーション)のタイトルでアニメーションが放送されています。湯浅政明監督による斬新は表現手法が高い評価を得ていて、その影響でコミックや映画も再び注目を集めています。

実はこの映画はアニメが始まる前からHuluで配信されていて3回ほど見ました。コミックの実写化というと、たいていは「ざけんなよ!」となりますが、この作品は実写化に成功した稀有な例として日本映画史に名を残すといっても言い過ぎではないでしょう。奇蹟の一本といってもいい。

今回はオーディオ・コメンタリー付きで見たくて、Huluで見られるのにもかかわらずDVDを借りてきました。曽利文彦監督と撮影の佐光朗のコメンタリーで語られる裏話が実に面白い。これだけでもDVDで鑑賞する価値があります。

この映画の特徴は、まず卓球をVFXにより見事に表現している点でしょう。現代の技術ならもっとすごい映像がつくれるのでしょうが、いま見ても感心する出来栄えです。洋画で卓球が取り上げられないせいもあり卓球のシーンがとても新鮮です。

配役に目を向けると、まず主演の窪塚洋介が最高です。ペコ役は窪塚の他にはいないのではと思わせるほど適役です。ちなみに髪型はウィッグとのこと。川に飛び込むシーンはスタントなしで本人がやると言ったそうですが、さすがにスタッフに止められたようです。

それから、ドラゴン役の中村獅童もすごい。彼にとって映像の仕事はほどんと本作が初めてだったということですが、歌舞伎の「見得」に通じる演技が強烈な印象を残しています。あとは中途半端にヒロインが出てこないところも成功した理由かもしれません。

アニメで「ピンポン」との運命的な出会いがあった人は、ぜひこの実写版を見てみてください。きっと琴線に触れると思います。オススメです。