退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

中小出版社、アマゾンに抗議して出荷停止へ 〜再販制度っているの?〜

朝日新聞デジタルの記事によれば、 中小出版社数社が、アマゾンがポイント還元しているサービスに抗議してアマゾンへの出荷停止を決めた。

ネット通販大手のアマゾンが大学生などに対し、書籍の価格の10%をポイント還元しているサービスが、「事実上の大幅値引きで再販契約違反にあたる」として、緑風出版晩成書房水声社など中小の出版社が、アマゾンへの出荷停止を相次いで決めた。
(以下略)

「アマゾンに抗議、出荷取りやめへ 中小出版社」(2013年4月18日付)

民間企業間の商取引なのだから、双方が条件に納得できなければ取引きしなければいいだけだ。しかし、この記事の内容はどうも腑に落ちない。中小出版社がアマゾンが再販制度に違反していると抗議するのなら、監督官庁公正取引委員会に提訴すればいいし、損害を受けたというのなら損賠賠償訴訟を起こすべきだろう。中小出版社の意図がどこにあるかまるでわからない。

記事を読み進めていくと、緑風出版の高須次郎社長は次のようにコメントしている。

緑風出版の高須次郎社長は、「出荷停止には勇気がいるが、このままでは定価販売を守る街の書店が消えてしまう。書店トップのアマゾンは国内ルールを守るべきだ」としている。

街の書店が消えてしまう? ポイント還元に関係なく街の書店が消えていってる現実をどう考えているのか。街の書店の代表しているかのような物言いも鼻につく。街の書店が消えると出版社に何か困ることがあるのか。

同じ値段でも品揃え豊富で便利な方で買うだろうに。常識的に考えて。しかも近所のリアル書店でもポイント還元制度があるが、そっちはルール違反ではないのか。ルール違反に憤慨してるなら、上に述べたように出るところに出て白黒つければいい。

そもそも消費者保護の観点からすれば、アマゾンのような全国から容易にアクセス可能な巨大書店が存在する環境では、再販制度の存在理由すら疑わしいい。街の書店が無くなっても消費者は本を買いにくくなるという不利益はないから、自然淘汰によって街の書店が廃業しても問題ない。昔のように街の書店がないと本が買えないという時代ではないのだ。

今回の中小出版社の抗議行動がどういう決着を見るかわからないが、「アマゾンにない本は世の中にないのと同然」という現実を肌をもって知ることになるだろう。再販制度という既得権益に巣食う旧態依然とした出版社は、市場から退場してもらったほうが社会のためだ、というと言い過ぎだろうか。

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photo by gwai