退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『侍』(1965)

新文芸坐の企画上映「永遠の映画スター 三船敏郎」で映画「侍」(1965年、監督:岡本喜八)を観る。桜田門外の変(1860)を題材にした本格時代劇。白黒映画。

三船敏郎は、大老井伊直弼落胤であるが父が誰かを知らされずに育てられた浪人・鶴千代を演じている。

鶴千代は、青年期、立身出世の大望を懐き学問そして剣に精進する。しかし出自が確かでないことから失恋し、自暴自棄になり身を持ち崩す。偶然水戸浪士を助けたことから、井伊暗殺を企てる一党に加わり、襲撃に参加する。桜田門外の変では、鶴千代は獅子奮迅の活躍を見せるが、実父とは知らずに井伊直弼を討ち果たすという皮肉な結末を迎える。

暗い過去を背負う鶴千代の内面が巧みに描かれており、ダークサイトに落ちるところは印象的である。

見どころは、クライマックスの井伊大老襲撃シーンだ。雪景色の中の壮絶な立ち回りが白黒画面で展開されるシーンは圧巻。岡本喜八の真骨頂である。大スクリーンで観たいシーンである。