退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

佐々木俊尚『電子書籍の衝撃』

電子書籍の衝撃 (ディスカヴァー携書)

電子書籍の衝撃 (ディスカヴァー携書)

出版業界の変化を捉えるのに、既に電子化の洗礼を受けた音楽業界が盛んに引き合いにだされるが、洋楽に疎いせいか音楽業界のアナロジーを、どの程度日本の出版業界に適用できるのか疑問を感じる。

iPadKindleなどの電子書籍端末の登場に代表される新たな潮流により、現在の出版業界の旧弊が駆逐され新しい出版文化の幕開けとなるとするのは楽観的に過ぎないか。日本だけの理不尽な業界構造が再編されるだけでは。動向を注視したい。

本書に取り上げられた電子書籍関連の説明は既に言い古されたことも多いが、電子書籍の基礎知識や今後の変化を予測するのに役立つかもしれない。

あと図書館の言及がなかったのは残念。電子書籍により図書館のあり方がどのように変わっていくかにも触れてほしかった。