新田ヒカル,星飛雄馬『やさしいベーシック・インカム』

やさしいベーシック・インカム

「ベーシックインカム」や「給付付き税額控除」という言葉をよく耳にするようになり、勉強してみようとこの本を手にとった。

たしかにベーシックインカムについて解りやすく説明されているのが、問題をあまりに単純化しているように思う。実現までの道程はそれほど甘くはないだろう。

やはりもっと精緻な議論が必要だろう。実現方法について言えば、公務員削減などは政治的に難しいだろうし、ただ収支の数字合わせに終始しているのは残念。

参院選が迫ってきてから各党の政策を目にする機会が増えたが、ベーシックインカムの実現を唱えている政党はいないようだ。本書にあるように、すべての問題が一気に解決するのならば、この考え方がもっと広まり、広く議論されてもいいと思うのだが、そうはなっていないのには理由があるのだろう。

なによりもモラルハザードが絶対起こり、経済がますます低迷する結果になりはしないかという疑念がある。これは私の周囲が「ろくでなし」ばかりだからかもしれないが……。

まあ本書に刺激を受け、ベーシックインカムについてさらに勉強してみようとは思ったことは収穫である。