退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

坂本光司『ちっちゃいけど、世界一誇りにしたい会社』

ちっちゃいけど、世界一誇りにしたい会社

ちっちゃいけど、世界一誇りにしたい会社

小さな会社だが、いずれも人の幸せに直結する社会に貢献する仕事をしている8社を紹介している。いずれも仕事に対する真摯な姿勢は感動的で、関係者たちの生活感が伝わってくる。

筆者は、企業のステークホルダーのなかで、株主、顧客、取引先よりも従業員を大切にすることが重要だと説いていてリストラなど論外だという。この本で紹介されている企業でオーナー社長が経営している場合は、社長が好きにやればいいのだろうが、もっと経営規模が大きい場合にも、そうした家族的な社員至上主義が通用するのか興味があるところだ。

さらに大企業の経営は冷たいとさかんに非難しているが、実際きれいごとばかりでは済まないし、この本にあるニッチな市場があるのも大企業が外貨を稼いでいて社会インフラが整備されているからだという現実も押さえておく必要があるように思う。

それでも読み物としてはおもしろいし、日本人の琴線に触れる部分が多い一面もたしかにある。