退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

愛のむきだし

連休中、所沢ミューズで開催された「ミューズ シネマ・セレクション」という上映イベントで「愛のむきだし」(2008年、園子温)を鑑賞した。すごい映画だった。

愛のむきだし [DVD]

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ずっと観たいと思っていたが、237分と長尺のため映画館での興行が難しかったせいもあり、すれ違いばかりでついぞ観れなかった。この前も19日まで早稲田松竹で上映されていたがスケジュールが合わずに断念していたので、ようやく所沢までの小旅行を経て、見れことができてよかった。

この映画は、日本映画のエンターテインメントとしては到達点、と言ってもいいかもしれない。まずタイトルバックがでるまでのプロローグがとんでも長いのに驚く。だが、だれることもなくしっかり観客を掴み、その後、一気に加速してラストまで引っ張っていく手腕には脱帽。途中、意味不明な部分もあったが、力技で最後まで見事に押し切られた。

どぎついエロ画像がネットに溢れている現代において、真剣にパンチラ盗撮を追いかけ、真面目に勃起するアナクロな純愛に乾杯! ただ後半、エロがトーンダウンするのは残念。最後までエロと純愛の両立を目指してほしかった。

出演者では、渡辺真起子渡部篤郎の演技はさすがベテランという感じだったが、なんといっても満島ひかり! 高校生という設定はちょっとムリがあるかなとも思ったけど、一部の男性層のココロを見事に射止めたことはまちがいない。

途中休憩ありの4時間の上映時間は、さすがにカラダにこたえたが、機会があればもう一度観てみたい。

作品と離れるが、今回の会場には音響と座席に難があった。マーキーホールという馬蹄型の演劇ホールだったが、とうてい映画向きではない。

技術的なことはわからないが、この映画は過激な台詞がウリなのに、せっかくの台詞が聞き取りにくく残念だったし、どこかのシェークスピア劇場を再現したという座席も4時間座っているにはつらかった。シネコンがいかに映画に最適化された環境なのか痛感した次第。