退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

『狼よ落日を斬れ』(1974)

どうしても剣戟のある時代劇を見たくなってDVDを借りてきて「狼よ落日を斬れ」(1974年、三隅研次)を観る。初見。池波正太郎の小説の映画化。上映時間158分の長編。

狼よ落日を斬れ [DVD]

狼よ落日を斬れ [DVD]

最近、大河ドラマ龍馬伝』に感化されて幕末がマイ・プチブームということもあり借りてみた。冒頭の池田屋事件から、明治維新後の西南戦争までの激動の時代を駆け抜けた四人の剣士たちを描く。出演は高橋英樹を軸に、緒形拳西郷輝彦近藤正臣と豪華な布陣。女優は、松坂慶子が可憐だし、太地喜和子も妖艶な姿を見せてくれる。

おそらく原作が大作なのだろうが、長い期間に起こる盛りだくさんの事件を一本の映画にまとめため、どうしてもダイジェスト版のような感じがする。

それでもアクションはすばらしい。とくに高橋英樹近藤正臣道場で真剣で立会うシーンは白眉である。まるで本物の刀を使っているような迫力があり、時代劇映画のなかの名シーンといってよいだろう。

また高橋英樹が、妻を惨殺した敵を切り捨てる場面で、首が空に飛んだり、頭から唐竹割りにする凄まじい描写は、『子連れ狼』シリーズを彷彿させ、さすが巨匠・三隅研次らしい演出だとうれしくなった。

名画座でも上映される機会の少ない作品だが、時代劇ファンは是非見てほしい作品である。