退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

『さらば夏の光よ』(1976)

シネマヴェーラ渋谷で映画『さらば夏の光よ』(1976年、山根成之)を観る。「70年代の青春:鬱屈と混沌と」という上映企画の1本。

遠藤周作の小説の映画化で、郷ひろみの初主演作。吉田喜重監督の『さらば夏の光』(1968年)とは別作品。

映画パンフレット 「さらば夏の光よ/青春の構図」 出演 郷ひろみ/秋吉久美子/一氏ゆかり 秋野暢子/岡田奈々/早乙女愛

部屋をシェアして暮らす対照的な少年ふたりがひとりの少女(秋吉久美子)に恋をする。この三角関係を青春の苦さとともに描く。話も演技もそれなりなのだが、アイドル映画にありがちが軽薄さない。ラストはなかなか味があり青春映画の佳作といってもよい。郷ひろみも意外にいいのだが、なにより秋吉久美子のすばらしさよ。非凡なものを感じる。

少年のひとりの野呂(川口厚)が、多浪して早稲田大学法学部に合格するくだりがあるが、受験地獄であった往時の雰囲気が出ている。しかし「浪人生なのに女どころじゃあるまい!」と思ったのは私だけか。

さらば、夏の光よ (講談社文庫)

さらば、夏の光よ (講談社文庫)