退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

小林よしのり編『日本を貶めた10人の売国政治家 』

日本を貶めた10人の売国政治家 (幻冬舎新書)

日本を貶めた10人の売国政治家 (幻冬舎新書)

執筆者たちの思いが伝わってくる熱い本。ただし右翼のバイアスが強いし、「売国政治家」という激烈な言葉が浮世離れしていて、かえって自分とは遠くの世界のことに感じられる。

こうした違和感を抱えながら、長谷川三千子のコラム(p.221)を読んで、なるほどと思った。このなかで「われわれは『売国政治家』という言葉そのものを、本当の意味では、持ち得ていない」といい、国民の無関心を嘆いている。まあ無関心な人が多いのは私を含めてもそのとおりだろう。

竹中平蔵が構造改革の結果を問われて「文明評論家のように批判するのはおかしい」と答えている記述(p.188)がある。竹中の改革を全面的に是とはしないが、この本のように「靖国問題」「歴史認識」「媚中」といったことに血道をあげてるよりは、経済などの実体のあるモノに取り組むのが有益だろうとは感じた。時間の無駄だ。

この本を読んで、いまだに日本は戦後処理ができてきないことがよくわかる。そして歴代の政権が犯した“罪”が明らかにされている一方で、日本が経済大国として一定の位置を占めているのも、また事実である。国とはなにか、何が国益なのかを考えさせられる契機になる、という意味ではいい本である。

今回は一方的にワースト政治家を選び出しているが、ベスト政治家も同時に選んでほしかった。そうすれば、この本のいう政治家のあるべき姿も明らかになるだろう。ちなみに、この本が選んだ売国政治家ワースト10人は次のとおり。ちなみに、民主党による政権交代の前に出版されたことも留意すべきだろう。

1位 河野洋平
2位 村山富市
3位 小泉純一郎
4位 小沢一郎
5位 中曽根康弘
6位 野中広務
7位 竹中平蔵
8位 福田康夫
9位 森喜朗
9位 加藤紘一