退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

『劔岳 点の記 』(2008)

新文芸坐で「劔岳 点の記」(2008年、木村大作)を観る。新田次郎の同名小説を、巨匠・木村大作が映画化。明治後期、日本地図を完成させるため、前人未到の剣岳を測量を命じられた測量官(浅野忠信)が、案内人(香川照之)とともに山頂に挑む。

過酷なロケで撮影されたという映像美が圧巻。是非、映画館の大スクリーンで観ておく映画。決して派手な映画ではなく、いまの時代にはそぐわずに興行的にも厳しかったかもしれないが、既に名を成した監督だからこそ撮ることができたのだろう。

全編を通して抑えた雰囲気なのは好ましいが、映画としてはシナリオや編集は雑なのは惜しい。誰も文句付けられなかったかもしれないが…。

出演者では案内人の香川照之がすばらしい。香川の真骨頂を見ることができる。

封切当時、木村大作が映画の宣伝にラジオに出ていたのを聴いて、饒舌なのに驚いたことがある。さきほど、映画館でみるべきと書いたが、DVDで監督のオーディオコメンタリーでもういちど見直したい。オーディオコメンタリー付いてるといいのだが。