退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

佐藤まりあ『大人のための英語多読入門』

大人のための英語多読入門

大人のための英語多読入門

「大人の趣味」としての英語多読の入門書らしい。「趣味」というのがポイント。2部構成で、第1部は多読のメソッドをFAQを交えて解説し、第2部はレベル別に読むべき本を紹介している。

第1部では多読三原則の説明している(p.40)。次のとおり。

  • 辞書は引かない
  • わからない部分は飛ばす
  • 進まなくなった本は後回し

そして、FAQの中で「とりあえず、文法のことは忘れていてください」(p.82)としている。まあ趣味で英文書籍の読書を楽しむにはいいのだけど、本書でも指摘しているが、これだとアウトプットはできないだろうから、ビジネスシーンではとたんに困るだろう。

また、こうした多読メソッドで、本当に読めているのだろうかといつも疑問に思う。読めた気になっているだけではないかという懸念が頭から離れない。

このメソッドは、「勉強」でなくて「趣味」だからいいだろ、と言われると返す言葉はないが、以前読んだ京大教授・鎌田浩毅『一生モノの勉強法』にあった言葉を引用しておこう。

アウトプットを認めてもらえないような勉強は、ちょっときつい言い方かもしれませんが、大人にとっては「価値」がないのです。

第2部のおすすめ本では、レベルごとにおもしろそうなシリーズが紹介されていて読書ガイドとして役立ちそうだ。個人的にはミステリーやSFが少なかったのでちょっと不満。あと「5.読書レベル」では、「お好きな本を」となっていて、ややずっこけたが、このレベルを一応のゴールとしているようだ。

読書は個人の好みが大きいだろうから、読書ガイドのすべてが有用かわからないが、とりあえず、どの本を手にすべきかを、一冊で体系的に紹介してくれているのは貴重だろう。