- 作者: 上杉隆
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/05
- メディア: 新書
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この本を読んで、政治家の世襲による弊害は多いが、最も問題なのは「政治資金管理団体の非課税相続」だと感じた。政治資金規正法がザルなので、実質的に「無罪相続」がまかり通っている実態がある。これは課税対象にするが当然なのだが、当事者である議員自身にできるのだろうか。
また首相であった安倍晋三と福田康夫が、なぜ相次いで政権投げ出したのかという問いに、二人とも世襲政治家であり、その生い立ちや経歴に答えを求めているのは非常に面白い。
そして世襲は、単に政治家個人の問題ではなく、後援会を中心とした利権構造となっているのだという。さらに後援会こそが最大の問題だと説く。
また外国との対比において、同じ議員内閣制をとる英国を例にあげている。英国下院議会の世襲率は3パーセント程度と著しく低い。また政党内での候補者選抜プログラムが厳しくて、世襲である意味が薄いのだという。また世襲によるメリットもほとんどないというのも理由である。それでは貴族議会はどうかという疑問はあるが。
まあ結局、議員は国民の負託を受けているのだがから、その結果についても国民が責任を負わなければならない。畢竟、国民の民度に応じた政体しか持ち得ないということだ。
今度の選挙でも世襲議員と目される人たちが出馬している。結果はどうなるか興味のあるところだ