退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

宮台真司『日本の難点』

日本の難点 (幻冬舎新書)

日本の難点 (幻冬舎新書)

内容がなかなか頭に入ってこない読みにくい本である。「はじめに」を読んで、眩暈を感じたが、投げ出すほどではなかったので、一応通読した。読者に分かりやすく説明しようとする意思が微塵も感じられない、新書なのにイヤミな本だ。細野真宏の爪の垢で煎じて飲んでほしいところ。

何で読みにくいかと考えてみると、内容の難解もさもさることながら、ダッシュ(―)に挟まれた挿入句、学術用語(筆者の造語も混じっている?)の乱発、無理やり振られたカタカナルビなどのスタイルが、その一因だろうか。

さらに「おわりに」を読むと、以下のように書いてある…。私は、まさに「記述の難解さ」に眩暈を感じましたが…。

本書はこれ以上ありえないというほど、噛み砕いて書かれています。本書に難解なところがあるとすれば、それは記述の難解さではなく、事柄の難解さによるものです。通読すれば眩暈をするでしょうが、それは圧倒的情報量による眩暈ではなく、<社会>の複雑さによる眩暈でしょう。

高飛車なスタイルのわりには、内容は全体としては、意外に穏当だなという印象を受けた。「包摂性のある分厚い社会」というのは傾聴の価値がある。あと、この本を読んでいる時期に、ちょうど初めての裁判員制度による裁判が行われたこともあり、裁判員制度に箇所は感慨深く読んだ。筆者は制度に反対しているが、その理由は一読の価値がある。