退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

『ノン子36歳(家事手伝い)』(2008)

早稲田松竹で、「ノン子36歳(家事手伝い)」(2008年、熊切和嘉)を観る。公開当時、銀座シネパトスで予告編を何度も見て気になっていた作品。

ノン子36歳(家事手伝い) [DVD]

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坂井真紀が演じるバツイチの出戻り三十路オンナの青春恋愛映画ということだが、いたって現実的な作品で、非日常性をあまり感じることはない。予告編にもあったが、ふてくされた主人公が、路上のゴミ箱や看板にわざとぶつかりながら、自転車で走る場面が印象に残る。主人公の鬱屈した心情があらわれていていい。全体として落ち着いて見れる作品である。

この映画はR-15指定であり、坂井真紀の体当たりの濡れ場が2回ある。相手は、元の夫と若者・マサルである。この濃厚な濡れ場に必然性があるかわからないが、主人公の内面を描くのには必要だったのか。これほど露骨な演出に必然性があるのか正直疑問であるが、観ていてちょっとびっくりしたのは事実である。

このマサルくんが、世間知らずの困ったちゃんなのだ。ついには、祭りでチェーンソーを振り回して大暴れする始末。その場で警官に射殺されても仕方ないキチガイぶりだ。逮捕されずにあのまま町を去っていくというのが不自然に感じた。

まあ、騒ぎのあとも、結局、主人公を取り巻く状況はかわらず、いつもの日常に戻るわけだが、そのまま年老いていくのだろうか。なんか哀れな気もする。こうしたノン子に、世間の女性たちは自分を重ね合わせて、共感できるのか興味があるところ。

あと新田恵利が、主人公の同級生で、スナックのママを演じている。場末のママの雰囲気が出ていて感心した。そうか、おニャン子クラブ(彼女は会員番号4番ね)が、ノン子世代というわけか。時の流れは速い。