退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

スパイダーマン3

公開時に見逃した「スパイダーマン3」(2007年, サム・ライミ)をDVD鑑賞する。大味な映画だけどスカッとできる映画ではない。それでも普通におもしろい。

主人公のピーターと親友ハリーとの対決は、「ゴブリンJr.」ともいうべきストーリーで、「復讐」と「赦し」といった容易に解決することのできない深遠なテーマを感じる。さらにサンドマンの悲哀に満ちた設定と併せて、映画全体を陰鬱した重い雰囲気にしている。アメコミなのだから深く考えずに楽しみたいと思うのだが、それを許さない作品である。でも各キャラクターが軽いので重いテーマを受け止められていない。

一方、謎の黒い物体に取り付かれたブラックスパイダーマン(黒ピーター)のダークサイドは微笑ましい。悪行が小さいので、ほっとできるほどだ。黒ピーターが、ニューヨークの街をはしゃぎながら闊歩する場面は笑える。どうせなら徹底的に悪になりきってほしかったが、そうすると別の映画になってしまうだろうか。

本作でも言えることだが、シリーズ通してMJを演じるキルスティン・ダンストの何とも言えない魅力がすばらしい。この映画でもMJだけはまともなキャラである。世間では、ブサイクとか酷い言われようだが、シリーズに欠かせない存在感がある。彼女をキャスティングしたサム・ライミの卓見は評価に値する。

本作のエンディングはシリーズ集大成のようにもみなせるが、続編は作られるのだろうか。三部作としてこれで終わってもいいが、もう一作ぐらいは見てみたい気もする。