退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

『新幹線大爆破』(1975)

先週、新文芸坐の「高倉健特集」で「新幹線大爆破」(1975年、佐藤純彌)を鑑賞した。東映の和製パニック映画。

東京発博多行き新幹線ひかり号に爆弾が仕掛けられる。この爆弾は新幹線の速度が時速80キロ以下になると爆発するしくみになっているため、停車して点検することができず、そのまま博多に向かうといったパニック映画。結構楽しめる。

高倉健ら犯人グループの計画性のなさにも呆れるが、その犯人を何度も取り逃がす鈴木瑞穂が率いる警察側の無能ぶりにも失笑を隠せない。ご都合主義のストーリー展開はどうなのかと思うが、リアリティがなくても面白い映画もあることを確認できる。

当時、国鉄の協力が得らなかったり、予算の制約からか特撮のレベルが低かったり条件は良くなかっただろうが、スタッフと出演者の熱意が感じられるのは好印象。ただ気の抜けたような音楽が映像とあっていないのは難点か。また、やたらと犯人たちのフラッシュバックした回想シーンが挿入されるのも気になるが、それほどイヤではない。

出演陣では運転指令所の宇津井健の男らしいさも必見だが、すぐにパニックに陥る新幹線運転手を演じる千葉真一が記憶に残る。千葉ちゃんを映画で観た国鉄側は協力しなくてよかったと思ったかどうか…。

この乗客の乗せたまま止まれないという設定は、キアヌ・リーブス主演の「スピード」(1994年)を想起させるが、本作の方が格段に面白い。