退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

『大菩薩峠 竜神の巻』(1960/大映)

大菩薩峠 竜神の巻」(1960年, 三隅研次)をDVDで鑑賞する。大映による中里介山の長編小説の映画化。市川雷蔵主演の三部作の第2作。

大菩薩峠 DVD-BOX

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前作のラストは、机竜之介と宇津木兵馬が、いままさに太刀を交えようとするところで終わったが、本作の冒頭では皆が倒れている場面から始まり呆気にとられる。対決シーンは、いったいどこにいったのか。

その後、天誅組に参加した竜之介は、敗走するなか追っ手により山小屋を爆破され失明してしまう。失明してもさすがに名うての剣客で強い。心眼をもって討伐隊を一蹴する。この立ち回りは凄みがあり、見どころのひとつ。

ただ本作では、剣豪映画としては殺陣のシーンが少なく、静かに展開する。そのため物語が平坦でやや退屈かもしれない。そのなかで女の情念を表現する中村玉緒の熱演がひときわ目立つ。一体、ひとり何役やるのか。一方で山本富士子は病床に伏しているせいかやや精彩を欠く。

前作と同様に映像は美しいさは特筆できるが、またもや竜之介と兵馬が対峙する場面で幕となる。やはり狙っているのだろうか。