退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

『白い巨塔』(1966)

白い巨塔」(1966年,山本薩夫)をDVDで鑑賞する。脚本家・橋本忍のインタビュー記事にあった作品リストから選んで借りてきた。

白い巨塔 [DVD]

白い巨塔 [DVD]

何度見ても面白い奇跡の映画。上映時間150分の長尺だが、長さを感じさせない密度の高い映画に仕上がっている。山崎豊子の原作はさらに長編なので、これでもかなり圧縮されている。そのため人事抗争と法廷闘争といった表向きのことに集中しているのはやや残念だが、バランスを考えると仕方ないのかもしれない。

出演者については、主人公・財前五郎を演じる田宮二郎が適役なのは言うまでもないが、周りの役者もすごい人たちばかりだ。今の役者となぜこうも違うのかと考えさられる。ただ本作品では東教授を東野英治郎が演じているが、これだけはテレビドラマ(1978年)の中村伸郎が数段いいな、といつも思う。

制作当時はまだ原作が完結していなかったこともあり、この映画は、財前側が医療過誤訴訟の一審で勝訴して、里見助教授が大学から追われるところで終わっている。ぜひ、このキャストとスタッフで続編を見てみたかった。