退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

森永卓郎『年収防衛』

前著『年収崩壊』も読んだが、本書も同じような内容で変わっていない、というかブレがない。しかし、その間経済状況は、サブ・プライムローン問題を契機に以降急激に悪化した。それもこの本にとっては追い風か。

本書では、弱肉強食型の金融資本主義を見直し、ラテン型の生活を提言している。まあ気持ちはわからなくはないが、本当にこれで大国日本がやっていけるのかという疑念は残る。情緒的な提案だけでなく、マクロの視点で理論的かつ具体的な方策について言及してほしいところ。

個人レベルに目を向ければ、保険の見直し、株主優待、電子マネーなどを利用してのモリタク流節約術は、新鮮味はないが意外と参考になる。通勤時などに気軽の読める本としておすすめ。

それにしても筆者は、世間が不景気になると、それだけ生き生きしてくるように思えるのは、単なる錯覚か。

年収防衛―大恐慌時代に「自分防衛力」をつける (角川SSC新書)

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