退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

『ズール戦争』(1964)

19世紀末の南アフリカを舞台に、4000名の現地民であるズール族とわずか100名あまりのイギリス軍との戦いを描いた映画。DVDで鑑賞。

あまり馴染みのない戦いでしたが、ほぼ史実どおりだそうです。冒頭のズール族の集団結婚式の様子の映像に圧倒されます。このシーンからズール人を未開の蛮族ではなく、文明を持った民族として敬意をもって描いていることがわかり、なかなか好意がもてます。

その後、対立の背景があまり語られないうちに両者は戦闘に陥ります。原始的な槍と盾で武装したズール人の兵士が、「列車のような音」を発して大挙押し寄せてくる様子は迫力満点です。彼らは、なぜか弓矢は持っていません。アフリカには存在しなかったのでしょうか。白兵戦を交えた凄まじい戦闘シーンが、この映画の最大の見所であり、CGにはない実写の迫力が伝わってきます。

戦闘中、「長篠の戦い」を彷彿させる「三段撃ち戦法」が登場します。ただし銃器は火縄銃ではなく、元込め式の当時の最新式ライフルですが。苛烈な戦闘の末、英国軍は、ついにライフルの連射によりズール族を撃退します。上半身裸のズール族に対して、英国軍の赤い軍服が鮮やかなのも印象的です。

この映画は、結局、英国側から見た英雄譚になっています。当時の列強による帝国主義の是非は、ひとまず棚上げして、スペクタクルとして普通に楽しめる映画です。

ズール戦争 [DVD]

ズール戦争 [DVD]