退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

中島義道, 香山リカ『生きてるだけでなぜ悪い?』

親子ほどは年が離れていない精神科医と哲学者の対談集。この二人の対談はありそうだな、とかねてから思っていたので、ようやく出たかという感じがします。実は対談集は苦手なので普段あまり読まないのですが、この本はおもしろく読めました。

両者ともお互い遠慮気味なのですが、その微妙な距離感のため却って対談が面白くなったようにも思えます。まぁ、内容は雑談の類ですが、現代社会の問題についての見識には見るべきものがありますし、二人の意見の相違も興味深いです。

そうしたわけで中島先生が単著で発している、ある種の「毒」を期待している読者にはやや物足りないかもしれません。しかしながら電通大の内情や、私塾「無用塾」のエピソードなどは楽しめるでしょう。

本書には、対談時の写真が何枚か載っています。会場は、白いテーブル・クロスのかかったテーブルが置いてある、やや狭い部屋のようですが、いったいどこなのか気になりました。ホテルか、それとも出版社の一室でしょうか。また帯では、二人が微笑んでいる写真が載っていました。そしてキャッチは「人生なんて偶然の産物。だからあなたが、成功する、失敗する理由もないのです。」となっています。

実際の対談の様子をビデオで見てみたい。

生きてるだけでなぜ悪い?―哲学者と精神科医がすすめる幸せの処方箋

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