退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

『海底2万マイル』(1954)

「海底2万マイル」(リチャード・フライシャー, 1954年) をDVDで観た。原題は、” 20,000 Leagues Under the Sea” というが、マイルは leagueとは違う単位のはずだが、こうした邦題がついた経緯は不明。

まず、ノーチラス号の造形がすばらしい(画像はこちら)。この潜水艦が海中を進むシーンは、文句なくかっこいい。外観は先進的なのだが、内部はコンピュータで制御されているわけでもなく、いたってローテクである。Uボートの映画のように浸水したりもする。武装といっても魚雷やミサイルではなく、潜航して、艦体上部の背びれのような部分を用いて敵艦艇の船底に打撃を加えるという原始的なものだ。ま、それでも原作が出版されて当時は、潜水艦自体なかったのだから、ある意味すごい事ではある。

また特撮シーンのなかでは、巨大イカに襲われるシーンが白眉。これは油圧式の大型の模型を用いたらしいが、日本のミニチュア特撮とは違った趣があっておもしろい。一方、ディズニー映画らしく、カーク・ダグラスがいきなり歌いだし、アシカ(?) を可愛がるシーンもあるのは愛嬌か。

遠い昔の記憶によれば、原作ではネモ船長とアロナクス博士との間に交流があり、人間的な結びつきを深めていくといった要素があったような気がするが、この映画ではネモが、カリスマ性があるものの偏屈な男として描かれている。「ふしぎの海のナディア」のネモ船長の原型はこの映画にあると言われているらしいので、ファンの人は是非観てほしい。

海底2万マイル [DVD]

海底2万マイル [DVD]