最近読んだ本のなかでは断然面白かった。定年を迎えた団塊の世代に向けて、安易な「田舎暮らし」を厳しく戒めている。特に共同体の閉鎖的な人間関係についての記述を興味深く読んだ。ま、田舎といっても地域差はあるし事情はそれぞれ異なるだろうが、田舎の人たちを徹底的にこき下ろしているところは痛快ですらある。私は、将来「田舎」に移住しようなどとは毛頭考えていないが、万が一そのような無謀な試みが頭をよぎったことがある人には、一読することをお勧めする。
どこに住むにしても、「自立するべし」「目が死んでいてはいけない」「酒をタバコはダメ」といった提言には耳を傾けたい。ともすると不快とも感じられかねない筆致のなかに、多くの人生の教訓が含まれているように思った。畳み掛けるようなスタイルが印象的だ。
筆者は小説家として著名で名前だけは知っていたが、これまでに著作を読んだことはなかった。他にも今回のようなトーンのエッセーを既に上梓しているらしい。定年を迎えるような年齢になる前に是非読んでおきたいものだ。
- 作者: 丸山健二
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2008/05/07
- メディア: 単行本
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