退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

読書

【読書感想】大下英治『百円の男ダイソー矢野博丈』(祥伝社文庫、2020年)

いまでは全国津々浦々で見かける100円ショップの最大手「ダイソー」の創業者である矢野博丈の評伝。今年、氏の訃報を耳にして、積読されていた文庫を手にとる。百円の男ダイソー矢野博丈 (祥伝社文庫)作者:大下英治祥伝社Amazon前半は人物伝として面白い。ま…

【読書感想】小野寺拓也, 田野大輔『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』(岩波ブックレット、2030年)

タイトルが絶妙に上手い。そのおかげかとてもよく売れてるらしい。本が薄いくて読みやすそうなのも功を奏しているようだ。検証 ナチスは「良いこと」もしたのか? (岩波ブックレット)作者:小野寺 拓也,田野 大輔岩波書店Amazon冒頭でナチスが成立した経緯を…

【読書感想】橳島次郎『科学技術の軍事利用: 人工知能兵器、兵士の強化改造、人体実験の是非を問う』(平凡社新書、2023年)

科学技術と軍事開発は不可分であるということは論をを俟たない。科学技術の軍事利用: 人工知能兵器、兵士の強化改造、人体実験の是非を問う (1032;1032) (平凡社新書 1032)作者:橳島 次郎平凡社Amazon新しいところでは、コンピュータやGPS、インターネットな…

【読書感想】泉房穂『日本が滅びる前に 明石モデルがひらく国家の未来』(集英社新書、2023年)

筆者は3期12年にわたり兵庫県明石市長をつとめ、その市政は「明石モデル」をつくり世間の注目を集めた。この本は泉流の政治学のエッセンスが詰まっている。日本が滅びる前に 明石モデルがひらく国家の未来 (集英社新書)作者:泉房穂集英社Amazon市政の実績と…

【読書感想】安野モヨコ『還暦不行届』(祥伝社、2023年)

前作『監督不行届』はコミックエッセイだったが、今回は文書版エッセイ。還暦不行届作者:安野モヨコ祥伝社Amazon庵野秀明監督と結婚後、新婚生活を描いた『監督不行届』だったが、本作は、その後をつづった文章版エッセイ。結婚して20年経ったらしい。続編の…

尾瀬あきらによるコミック「夏子の酒」を読了する

少しずつ読み進めていた尾瀬あきらの人気コミック「夏子の酒」を読み終わる。本作は1988年から1991年にかけ漫画雑誌『モーニング』に連載され、1994年には和久井映見主演でテレビドラマ化されている。夏子の酒(1) (モーニングコミックス)作者:尾瀬あきら…

【読書感想】 四條たか子『笠置シヅ子 その言葉と人生』(宝島社、2023年)

ブギの女王・笠置シヅ子の人生を実際のエピソードと自身の言葉・写真でたどる一冊。もちろん現在放送中のNHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の便乗企画。笠置シヅ子の一人娘・亀井ヱイ子氏が監修しており、巻末にはヱイ子氏のインタビューが載っている。笠置…

森恒二のコミック「無法島」を読了しました!

森恒二のコミック「無法島」(全6巻)を読み終わった。本作は、以前読んだサバイバルコミック「自殺島」の前日譚にあたる。しかし描かれたのは「自殺島」のあと。漫画雑誌『ヤングアニマル』に2019年から2022年にかけて連載された。無法島 1 (ヤングアニマル…

新谷かおるのコミック「エリア88」を読了!

ふと某所で見つけた、新谷かおるのコミック「エリア88」(全23巻)を読み初めて数か月。ようやく読み終わりました。この漫画は、漫画雑誌「少年ビッグコミック」で1979年から1986年にかけて連載された傭兵戦記漫画である。エリア88 全巻 1?23巻 完結 初版 セ…

【読書感想】養老孟司, 茂木健一郎, 東浩紀『日本の歪み』(講談社現代新書、2023年)

養老孟司, 茂木健一郎, 東浩紀による鼎談集。戦後日本の論点を3人が徹底討論。まあ床屋談義というか、議論が噛み合わないところも多いが、ときおり、ハッとさせられる。日本の歪み (講談社現代新書)作者:養老孟司,茂木健一郎,東浩紀講談社Amazon日本経済が30…

【読書感想】山内太地, 小林尚『やりたいことがわからない高校生のための 最高の職業と進路が見つかるガイドブック』(KADOKAWA、2023年)

私がいつも見ているYouTuberふたりの共著。タイトルどおり、高校生向けのキャリアを考えるためのガイドブック。イラストや図表が多く読みやすい。やりたいことがわからない高校生のための 最高の職業と進路が見つかるガイドブック作者:山内 太地,小林 尚KADO…

【読書感想】山井教雄 『まんが パレスチナ問題』(講談社現代新書、2005年)

もっとも解決困難な国際問題だと言われる「パレスチナ問題」が、最近注目を集めている。まんが パレスチナ問題 (講談社現代新書)作者:山井教雄講談社Amazonニュースは連日、イスラエル軍のガザ地区侵攻を報じ、同時にパレスチナ避難民の過酷な状況をこれでも…

三田紀房によるコミック「アルキメデスの大戦」が完結しました!

三田紀房によるコミック「アルキメデスの大戦」(全38巻)を読了。今週発売された第38巻をもって完結した。終盤は毎月のように新刊が刊行されており、「やけにペース速いな」と思ったものだ。アルキメデスの大戦(1) (ヤングマガジンコミックス)作者:三田…

【読書感想】稲垣えみ子 『家事か地獄か 最期まですっくと生き抜く唯一の選択』(マガジンハウス、2023年)

以前、同じ筆者による『老後とピアノ』を読んで感銘を受けたて、本書にたどり着く。中年女性がおもな読者だと思われるが、なかなか売れているようだ。家事か地獄か 最期まですっくと生き抜く唯一の選択作者:稲垣えみ子マガジンハウスAmazonこの本は「家事が…

島﨑今日子『ジュリーがいた 沢田研二、56年の光芒』(文藝春秋、2023年)

「週刊文春」の連載をまとめたジュリーこと沢田研二の評伝。沢田研二の楽曲とその時代の流行歌を聞きながら読んでみた。手にして結構活字が詰まっていてボリュームがあり読み応えがあった。ジュリーがいた 沢田研二、56年の光芒作者:島﨑 今日子文藝春秋Amaz…

コミック「山賊ダイアリー」を読む

岡本健太郎によるコミック「山賊ダイアリー リアル猟師奮闘記」(全7巻)を読み終わった。山賊ダイアリー(1) (イブニングコミックス)作者:岡本健太郎講談社Amazon山賊ダイアリー(7) (イブニングコミックス)作者:岡本健太郎講談社Amazon漫画家でありな…

【読書感想】藤沢数希『コスパで考える学歴攻略法』(新潮新書、2022年)

主に受験を控える子どもを持つ親に向けた本。コスパで考える学歴攻略法(新潮新書)作者:藤沢数希新潮社Amazon教育に「コスパ」という考え方を持ち込むのに抵抗がある人もいるだろうが、子どもの教育をどうしようかと、それを考えざる得ないのは現実である。…

コミック「ラーメン発見伝」を読了する

原作・久部緑郎、作画・河合単によるコミック「ラーメン発見伝」(全26巻)を読了した。雑誌『ビッグコミックスペリオール』(小学館)で、1999年から2009年にかけて連載されていた、ラーメンを題材にしたグルメ漫画。ラーメン漫画の金字塔。ラーメン発見伝…

【読書感想】『音声ガイドで 聴く名画』(サンクチュアリ出版、2023年)

いわゆる絵画解説本ですが、タイトルどおり「音声ガイド」で解説を聞くというユニークな本です。音声ガイドで 聴く名画 (サンクチュアリ出版)サンクチュアリ出版Amazon私は美術展に行くといつも音声ガイドを利用します。結構お高いのですが、必見の作品を見…

【読書感想】松本清張『徳川家康―江戸幕府をひらく』(講談社 火の鳥伝記文庫、1982年)

社会派推理小説作家・松本清張が、子ども向けに書いた徳川家康の伝記。ずいぶん前に知人に紹介してもらい、いつか手に取ってみようと思っていた。徳川家康―江戸幕府をひらく (講談社 火の鳥伝記文庫)作者:松本 清張講談社Amazon今年の大河ドラマの主人公が徳…

【読書感想】山内マリコ『あのこは貴族』(2016年、集英社)

話の流れで知人に勧められて読んでみた。あのこは貴族作者:山内 マリコ集英社Amazon東京生まれで裕福な家庭で育った華子。30歳を前に結婚に焦った華子は、ハンサムな弁護士・幸一郎と知り合う。幸一郎は、華子と同様に裕福な家庭で育った「上流国民」で、ふ…

コミック「沈黙の艦隊」を読了しました

かわぐちかいじ原作のコミック「沈黙の艦隊」が、大沢たかお主演で実写映画化され現在公開中です。そこで映画館に行く前に予習しなければ、ということで原作漫画を読み始めました。全32巻。予想以上に長かった。沈黙の艦隊(1) (モーニングコミックス)作者…

コミック「プリニウス」読了!

ヤマザキマリととり・みきの合作によるコミック「プリニウス」(全12巻)を読み終わった。連載時期は、2013年12月から2023年2月にわたる。ようやく完結したと聞いて最初から読み直してみた。プリニウス 1巻 (バンチコミックス)作者:ヤマザキマリ,とり・みき…

小林まことの「JJM 女子柔道部物語」が完結していました

小林まことによるコミック「JJM 女子柔道部物語」(全15巻)が完結していたので、先月出た最終巻を読んでみた。原作は女子柔道オリンピック金メダリストの恵本裕子 。JJM 女子柔道部物語(1) (イブニングコミックス)作者:恵本裕子講談社AmazonJJM 女…

【読書感想】大貫 真之介『私がグループアイドルだった時 僕の取材ノート2010-2020』(双葉社、2023年)

本書はフリーライターである著者が、現在はグループアイドルを卒業した13人にインタビュー記事をまとめた書籍。10年代のややマイナーなグループアイドルが主な取材対象。私がグループアイドルだった時 僕の取材ノート2010-2020作者:大貫真之介双葉社Amazon登…

【読書感想】吉村栄一『坂本龍一 音楽の歴史 : A HISTORY IN MUSIC』(小学館、2023年)

今年3月に他界した音楽家・坂本龍一の評伝。坂本龍一 音楽の歴史 ~A HISTORY IN MUSIC~作者:吉村栄一小学館Amazon本書がカバーしているのは2022年まで最晩年には触れられていない。少し前に文庫で『音楽は自由にする』という雑誌インタビューをまとめた自…

【読書感想】稲垣えみ子 『老後とピアノ』(ポプラ社、2022年)

いわゆる「大人のピアノ」についてのエッセイ。積読しておいた本を読み始めたあたりで、筆者がNHKの「あさイチ」に出演していたのを見つけた。最初は本書の筆者と同一人物とはわからなかったが、元朝日新聞の記者だというので表紙のアフロのイラストで「この…

コミック「重版出来!」が完結!

松田奈緒子によるコミック「重版出来!」(じゅうはんしゅったい)が完結していた。全20巻。週刊コミック誌の編集部を舞台に、女性漫画編集者・黒沢心を主人公として、漫画家とともに奮闘しながらヒット作を世に出していく、漫画業界のリアルと描く。重版出来…

【読書感想】伊藤喜之『悪党 潜入300日 ドバイ・ガーシー一味』(講談社+α新書、2023年)

ガーシーこと、元参議院議員・東谷義和に密着したノンフィクション。悪党 潜入300日 ドバイ・ガーシー一味 (講談社+α新書)作者:伊藤喜之講談社Amazon大手メディアが「事なかれ主義」で避けているテーマに挑戦していることは評価できる。軽い読み物として…

コミック『将棋指す獣』が完結してなかった件

ふと以前より気になっていたコミック『将棋指す獣』(原作:左藤真通、漫画:市丸いろは、将棋監修:瀬川晶司)を読み始める。全4巻。主人公は女性・弾塚光。元奨励会三段の彼女がプロ棋士を目指す熱いストーリー。将棋指す獣 1巻: バンチコミックス作者:左…